曼荼羅

〈極小と極大を行き来しながらの宇宙〉

 画僧牧宥恵が8年の歳月をかけて描いた「両界曼荼羅」1幅が縦4メートル横2.5メートルの「胎蔵曼荼羅」と「金剛界曼荼羅」の両部からなり、描かれた仏は1871体という大作。

 

 「両界曼荼羅」とは、真言密教の心理や悟りの境地を視覚的に表現したもの。森羅万象全てが書き込まれ、言葉だけでは伝えることのできない密教の奥義、宇宙観を図示している。

 

 806年に空海が唐から持ち帰った曼荼羅(現存せず)を原本とし、構成と形が決まっているが、仏の一体一体はすべて書き起こした。画力と密教の教義、膨大な時間と労力を要するため、全国でもこの大きさで両界曼荼羅の制作は非常に少ない。現在は東京都立川市の真言宗智山派「正楽院」本堂に掲げられている。

 

〈胎蔵曼荼羅〉

〈金剛界曼荼羅〉